第106章 【一松ルート】花詰草
酒の火照りもあってか外の空気が気持ちいい。
大人数で騒いだ後に一人で外歩いてるとなんで気持ちが少ししんみりするんだろう。
もう少し飲んでも良かったかも?
いやいや、飲みすぎて寝ちゃったらナス子に怒られるか。
俺のモノであるスペアキーを使って部屋へと戻ると、机に伏せて微動だにしない生き物と俺の足に擦り寄る天使がいる。
布団やソファで先に寝てても良かったのに。
「ただいま……」
ミケ子を撫でて寝ている彼女の後ろに座り足の間に入れるよう、俺はソファにもたれかかり温もりを堪能。
「……ん~……」
どうやら浮気は免れたようだ。
別にゲーム相手に気にはしてないんだけどさ。
折角友達から借りたからか、机の上には開いたままの雑誌。
暇つぶしに読んでいたんだろう。
「馬鹿だよね。こんなの勉強しなくたって俺はもうアンタに夢中だってのに……」
たまには口に出してやってもいいかなって思うと、耳元で低く囁く。
酒の力もあるのかも。
「ふっ………うへへへ………」
!!?
「ちょ、ま……!!」
急に聞こえた笑い声にビクつき抱きしめた手をつい放して思い切りソファに背中をぶつけてしまった……ヤバイ、コイツ……寝たフリしてやがったああああぁ!
「おかえりー、どう? 寝たふり上手いもんじゃない??」
「……………………彼氏騙すとか悪女かよ」
「ん~? そんな相手に夢中なのはだ~れかなっ?」
「………っ………ね、ねねね……寝る!」
「わっ、ちょっと! 急に手ぇ引っ張んないでよ」
言葉だって言われたら嬉しいけど、でも態度にも出されたらもっと嬉しいよね?
こんな風に俺の事を待っていたとか……さて、どれだけ夢中なのかはこれから布団の中でわからせてやろう。
忍耐だってそう長くは続かないこともある。
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花詰草の花言葉
『忍耐』『一筋』『誠実な愛』『希望』『温和』『協調』『私を拒否しないで』『臆病な心』・・・など。