第16章 ヤケクソ療法? カラ松 チョロ松 ※多少シリアスが含まれます
(*主人公の少し暗めな過去が出てきます)
「ど、どうして、こうなった・・・・・・・・?」
事の次第は、数十分前に遡る。
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「ふぅ・・・結局ここまで来ちゃったけど・・・ナス子姉、まだ寝てるよね・・・」
目の前のマンションを見上げ、チョロ松は一つ小さく溜め息を吐く。
先日のナス子の様子がどうにも気にかかり、ついに自宅まで足を運んでしまった。
自分でもどうしてこんなに気になってしまうのかわからないが、性格上一度気になってしまったものは確認しないと気が済まない。
「別になんでもないとは思うけど。ここまで来たし、顔だけでも見ていこうかな」
そう自分に言い聞かせるようにしてマンションの中へと足を踏み入れる。
ナス子の部屋の前まで来てインターホンを鳴らすと、意外にもドアはすぐに開いた。
「はい」
部屋主はまだ寝ていると思っていたチョロ松は少々驚くが、出てきた人物がナス子ではなかったことに更に驚き思わず大声をあげる。
「は?!」
そこにはナス子と同じくらい、いや、それ以上に見慣れた、あまり認めたくはないが自分と同じ顔の青年が、自分と同じような驚きの表情で立っていた。
「カ、カラ松?!なんでお前がココに?何してんの?」
「チョロ松こそ、どうしたんだこんな午前中から・・・」
「いやその台詞もそっくりそのまま返すよ」
よく見ると、カラ松の手にはクイック●ワイパ●ハンディが握られている。
「フッ、玄関先で立ち話もなんだ・・・あがれよ」
「お前の家じゃないけどね。なんなんだよまったく・・・」
そう突っ込みつつも、きちんと靴を脱ぎ揃えると、勝手知ったる人の家といった様子でリビングへと歩みを進める。
カラ松も同様で玄関の施錠をすると、チョロ松の後を追いリビングへと入る。
いつもはもっと散らかっているよう記憶している部屋の中は、今日はキチンと片付き、整理整頓がされている。