第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
「ほら、急にそんな事言うからビックリしてるだろ?」
「そうだよぉ、せめてもうちょっと段階踏んでから言った方が良かったんじゃないの? すっごい汗出てるよナス子姉。なんなら雑巾で拭いて絞ったらバケツ一杯分くらいにはなるんじゃないの」
流れ出る滝汗を着ている服で拭い、熱くなった顔をパタパタと手で仰ぎ冷ます。
「でも本当の事だから。……どう? ビックリしたしショックとか受けた?」
これが本当に記憶がなかった時ならビックリもするし、ある意味ショックを受けていたかもしれない。
「しょ、ショックと言うかビックリの方が大きい……ですかね」
顔を尚覗かれていて、ヘマをしてはならないとすっとぼけて天井を仰ぐ。
なんせ元より感情が顔に出やすく嘘もすぐバレる単純馬鹿な女だ。
しかも相手はもうどのくらい一緒にいるかわからない幼馴染でもある訳で、少しの動作も油断ならない。
「………………こっち見て」
「え?! あ~~~、なんかおおお、お付き合いしてるって聞いたら皆さんの顔が見づらくてですね」
見てと言われても、普段から実はよく人の顔を伺ったりと細かい一松に見られるのはマズイ。
なんとか、なんとかしなければと思った時、もう逃げる術が見つからなくなると、突如頭を押さえてわざとらしくナス子は叫び出す。
「おお━━━━━━━━━━っと、ここで頭痛いぞぉ?! すっごく、痛いなぁ! ヘッドイタイ、痛い痛い、なんだろう、これぇ? 私の中の忘れている何かがモヤモヤ~っとイタイ!!」
「……………なんかキャラ変わってない?」
「も、もしかして少し思い出しかけてるんじゃない?! それで普段の残念なナス子の口調が出てきてるんじゃっ」
一松辺りは、まだ何か探っているのだろう。
しかし勘違いしたチョロ松がその後に助け舟でも出すかのように喋ると、一松以外の松達はおおっと声を挙げた。