第104章 【逆ハー:卒業ルート】王道パターン、発動パートⅡ
ページが進むにつれ、六つ子達の幼馴染との思い出がだんだんと蘇ってきているようで花が咲き始める。
「あ!! プール、皆でよく行ったよねぇ」
「……行ったね。台風来てるのにそれがまた楽しいとかおそ松が言い出して全員連行されたっけ」
思い出に浸っているからか、皆の呼び名がちょこちょこ呼び捨てになってきているが、そこは皆は気づかないで楽しそうに写真を見ている。
「確かさ、流れるプールの勢いが激しすぎてナス子流されてかなかったっけ?」
「え、そうだっけ? そこはぼく覚えてないなぁ」
「俺も」
「いや、流されてたって! だってその後、迷子センターみたいな場所に行って俺達が保護してたじゃーん」
「その思い出実は逆なんじゃないかおそ松」
「え、そうだっけぇ?」
思い出せはしない皆の過去話だが、それを聞いていると不思議と楽しくなってきて笑みが零れてしまう。
この六人は、本当に仲がいいんだなぁと。
「私、こんな小さい頃から皆さんと一緒にいたんですね? それなのにどうして忘れてるんだろう……」
「写真見てもやっぱ、思い出せない?」
ナス子の呟く言葉にチョロ松が伺うよう顔を覗き込むのだが、ナス子は首を捻り浮かない顔だ。
でも、写真の中の自分は本当に楽しそうで何枚もの自分が笑顔だったり泣いたりと忙しなく七人一緒に映っていたり個人個人と写真を撮っている。
「写真は関係ないけどさ……皆でよく鬼ごっことか隠れん坊してたよね」
「あー! やったやった!! 一松兄さん隠れるの上手だったよねっ」
何かを見れば、また何かを思い出すのは六つ子だってそうだ。
記憶も失っている訳でなし、思い出すとやんややんやと騒ぎ出す。
「んで、カラ松が鬼だった時に途中で探すの飽きて帰っちゃった事があって俺だけ見つけられずに帰ったと思ったらさ……」
「うん、思ったら?」
一松の話にトド松が首を傾げ、カラ松は申し訳なさそうな顔をしている。
「近くで泣き声が聞こえんの」
「え、何それホラー?! 怖い話はやめてよ闇松兄さんっ」
急に始まる不穏なトーンにトド松がギュンと壁際まで下がる。
「気になって泣き声の主を探したらさ」
「あああ、聞きたくない聞きたくなあああぁい!」