第15章 構ってほしい長男 おそ松
今日も今日とて、松野家の長男・松野おそ松は暇を持て余していた。
朝起きて、歯を磨き、顔を洗い、髭を剃り、朝食を取って着替える。
一連の習慣を終え、部屋でゴロゴロしているうちにあっという間に昼食の時間になり、それも終え今に至る。
「ひ━━━ま━━━━!!暇すぎて死にそう!!」
部屋の真ん中に大の字になり叫ぶが、なんの反応も得られない。
それもそのはず、今この部屋にはおそ松一人しかいない。
言葉は虚しく空に溶ける。
「皆出かけちゃってるとかヒドクない?!一人くらい残っててもよくない?!俺ら六つ子だよぉ?六人もいるんだよぉ?なんで俺しか残ってないんだよっ!!」
手足をバタバタさせイジける様は、とても成人男性とは思えない。
「金がないからパチンコにも競馬にも行けないし!一人で釣り掘り行く気分でもねぇし!どうしたらいいの?!暇!暇に殺される!!」
しばらくそうやって盛大な独り文句を言い続けると、口に出す文句が早くも底をついたのか、今度はただただダラ~っと空気の抜けた風船のように床に仰向けになる。
ぼーっと窓の外から見える、空を流れていく雲を目が映す。
季節は冬から春へと変わろうとしている時期である。
降り注ぐ日差しは温かく、突如猛烈な睡魔がおそ松を襲う。
「・・・・・寝て起きて飯食ってごろごろして飯食ってまた寝るとか・・・ニート最高かよぉ・・・ふあ~ぁ・・・」
睡魔に逆らう理由もなく、おそ松はゆっくり目を閉じると、夢の国へと旅立っていった。