第103章 【リク作品】【逆ハ卒業ルート】六つ子と私：（過去編）あの頃　

「ハイハイハイハイハイハイ！！　私っ、私やる！！」

「ええ？！　姉さんとやるの？」

　十四松は私の挙手に驚いて正気かよみたいな目で見て来るけど、それは他の皆も同じだった。
　なにさ、昔は普通にやってたのに、大きくなったら入れてくれないとでも？！

「皆ばっかりズルイよ！　私だって力には自信あるんですけど？」

「いや、それは知ってるけどさぁ。今回は本気の本気勝負だし」

「そうそう、お前は黙って見とけって！　終わったら相手してやるからさ」

　何故かチョロ松とおそ松に宥められる私。
　
　大変に心外だ。　
　だってこいつらはまだ中学生で私は高校生だよ？
　それならまだ勝機はあるのではと考える。

「十四松、ちょっと手加減でもしてやれば？　負けたら拗ねるし面倒だよ」

「あー、そうだね。ハンデつけようか？」

　トド松が十四松にそんなアドバイスをしているけど、それはそれでまた扱いが違って嫌だ。

「いいよ、手加減とかハンデとかいらないし！　真剣勝負だ十四松」

「え～？　んー………痛かったら言ってよ？」

「うん、言う！　けど私だって本気で行くからね！」

　周りの目よりも私はこの勝負に意気込んでいて気づかなかったけど、その時の目は皆仕方なさそうに私を見ていたに違いない。

　思い返せば誰かが肩を竦めて眼で会話をしていたような気もする。

「んじゃ、行くぞ？　よ～い」

　…………おかしい。
　十四松と手を重ねてすぐ気付いたけどこんな手だったっけ？

　大きくてゴツゴツしてて、私の手なんか普通に包まれてるみたいな。

「ファイっ！！！」

「ふんっぬーっ！！！」

「おぁ」

　━━━━━━━━━━勝負は一瞬。