第103章 【リク作品】【逆ハ卒業ルート】六つ子と私:(過去編)あの頃
「いっくぞぉー!! とぉうっっ」
日差しの暑い夏の日、勢いをつけて身長の低い少年達が六人せーのでプールに飛び込むと、その勢いでプールサイドにまで水が跳ねる。
━━━━━━━━━━ザパアアアアァッ
「わっ、冷たっ! 水飛んだじゃん」
「冷たいのは当たり前だろ? プールなんだから! 早くナス子姉もおいでよ」
プールに急に飛び込まないでという看板を見ながら、私は呆れて六人を見下ろす。
今目の前にいるこの六人の小学生。
彼らは六つ子で私の幼馴染で弟のような存在だ。
家も近所だし親同士の付き合いもあって仲がいい。
私よりも年下の彼らは、私を姉と慕い、よく遊びに誘ってくれる。
六つ子といると注目を浴びて恥ずかしいと感じてた時期もあったけど、もうそれも慣れ初めていた。
女の子の友達もちゃんといるけど、結構な頻度で遊ぶこの六人の所為でクラスでからかわれる事だってある。
ま、それも慣れちゃえば平気平気。
それにこれだけ相手が年下ならこれはもう完全にボランティアみたいなモンだ。
だって保護者みたいな事してる事も多いし。
私だってまだ小学生だけどさ、高学年と低学年だと違うよね。
だから、からかわれるってのはどちらかと言うと、この六人が近所で有名な悪童だからって理由の方が大きい。
「うぅ……冷たい」
プールサイドに座って足だけ水につけて身体を慣らそうとすると、足先を付けただけでも身体中に鳥肌が立つ。
それにあろう事か、その中の誰かが私に向かって水をかけてきて、徐々に慣らそうとしていた身体が水でビッショリと濡れてとにかく冷たい!
「っぶ!!! ちょっと、まだ入ってないんだから急にかけないでよ、寒いでしょ」
「へっへーん、早く入って来ない方が悪いんだろ! 早く来いって」
正直コイツらが誰だかいくら小さい頃からの幼馴染と言えどわからない。