第98章 【十四松ルート】元気を分けてあげる
ボクらには容赦ない癖に、すぐに他の人の機嫌を伺って、すぐに首を突っ込むからこんな事になっちゃうんだよね。
昔っからそこは変わってないけど、ボクはずっとそんな姉さんが心配だったんだよ。
「し、仕事は辞めたくない……でも、いっぱい休んじゃって首になるかも」
「そしたらまた新しい場所を見つければいいんだよ! 姉さんならきっと出来る……けど、怖いよね。また新しい関係を作るのって……ボクだって皆がいなかったらきっと今頃変な目でみられて独りぼっちかもしれないし」
「そ、そんな事……十四松はいつも元気で優しくて人の気持ちに敏感で」
「あはは、そんな事ないよぉ。だってそれならこうやって泣いてる姉さんを元気つけられてるハズでしょぉ?」
「あ、ご、ごめ……」
姉さんが何度も謝ろうとするから、思い切りボクは痛くないくらいの強さで姉さんの両頬を引っ張る。
わぁ、大福みたいだ。
「うむー……にゃにふんのぉ」
「泣いてる姉さんも嫌いじゃないけど、こっちの表情の方が好き!」
「うう……ごめ」
「姉さん、ボクに謝る事なんてないでしょ?」
「でも、泣いてばっかで、甘えてばっかだし……」
「昔はボクの方が泣き虫だったのにね!! 立場ぎゃっくて~ん!」
ムイムイとまだ姉さんの頬を引っ張って、ボクはニヤつく。
泣いてばっかりだったボクは何度姉さんに甘えていたかわからない。
いつからか逆に、姉さんが辛い時は笑わせてあげられればいいなって思うようになったのはどれだけ前だったかな。
軽く引っ張っていただけの頬だったのに、姉さんの頬が赤くなって、やっと手を離して正面から抱きしめて背中をポンポンと叩いてあげる。