第97章 【微エロ】【おそ松ルート】<みかん>:短編
「今の発言はさすがに流せないんだけど? ナス子」
「へ?」
ワントーン低くなった声色と、まとう空気が変わったおそ松に、みかんを剥き始めていたナス子が顔を上げると、視線の先の表情にヒュっと自分の呼吸が浅くなるのを感じた。
「あの、お、おそ松さん? どうしt」
嫌な汗がナス子の背中を伝う。
その冷たさと気持ち悪さに、肩を竦めて縮こまり張り付けたような笑顔をおそ松へと向けるが、おそ松の表情は変わらない。
「わぁーかった。んじゃあ、俺がカリスマレジェンド松野おそ松ってことを、嫌っていうほど思い知らせてやるよ……なぁ、ナス子?」
「あ、いや、やっぱり、うん、おそ松……おそ松だわ。まごう事無きおそ松さっていうの? おそ松すぎるわ~いや~おそ松だわ~どこからどう見てもおそ松なのに私ったら何を言っていたんだろうなぁ~いや~おそ松おそ松~カリレジェ感ハンパないおそ松っスわ~」
「もう遅ぇ!」
「ひぎゃああああ!!!」
みかん という、なんということはない身近すぎるフルーツから始まった、実になんということはない会話……。