第97章 【微エロ】【おそ松ルート】<みかん>:短編
「ねぇ……おそ松さ、みかんの食べ方変わってない?」
「はぁ? なにそれ、そんなこと言われたことないけど?」
もういくつ寝ると、お正月~という歌詞をよく耳にするようになった頃。
ナス子宅でコタツに入り、二人で何をするでもなく、テレビを点け、ごろごろしていたそんな時。
ふと、ナス子がそんなことを言い出した。
「白いスジ取るところまでは、まぁそういう人もいるけど……スジとった後に一個ずつ並べてるってなに? 並べる意味なに?」
「最初にバーっと全部綺麗にして、全部綺麗になったらパクパク食うんだけど?」
「……なるほど……そう言われると理屈はわかるけど……」
理屈はわかった。
わかった、が、やはりおそ松らしくはないと思う。
チョロ松やトド松がやっているのならまだわかる気がするが、目の前にいるのはおそ松だ。
テキト~に皮を剥き、白いスジなど気にせず、フツ~に、プレ~ンに食べる。
そういうのが松野おそ松という男のはずだ。
「………ねぇ、アンタ本当におそ松?」
「はあ?」
「おそ松のふりしたチョロ松とか? もしくはトド松」
ありえなくはない。
この六つ子とは長い付き合いで、今更誰かと誰かを見間違えたりはしないが、本気の本気で成り代わりをされたら正直すぐ気づける自信は………ない。
見分けはつくと言っても、この六つ子、本当に全員同じ顔なのだ。