第96章 【微エロ】【カラ松ルート】NOと言えない男
私の彼はとても優しい。
「んん? またこんな所に服を脱ぎ捨てて……ダメじゃないかナス子。ちゃんと洗濯機の中に入れろと言っただろう」
怒っても私の服を拾って洗濯機へ運んでくれる。
「おっとぉ、危なかった! またナス子の漫画を崩す所だった。ちゃんとこれも本棚に仕舞えと言ってるじゃないか」
それでもまた漫画を拾って自ら本棚に戻してくれる。
「一週間来ない間に随分と部屋が散らかったな、どれ、掃除するか」
私が何も言ってないのに自分から私の部屋の掃除をしてくれる。
なんにも我儘を言わないし、頼み事をすれば一度もNOと言った事はない。
特に付き合い始めてから。
そんな彼を漫画を読みつつゴロゴロしながら見ていると、掃除機をかけ始めたカラ松は私を退かす事はなく周りだけ掃除をする。
「カラ松、邪魔だよね退こうか? 私の部屋だし掃除も一緒に……」
普通ならここで空気を察して掃除の手伝いをしたり無言でその場から退くものだが、わざと口に出して聞いてみた。
どうせ返ってくる言葉は想像がつく。
「いや、ハニーの手を煩わせる訳にはいかないさ。ここはこの頼れる男! カラ松に任せてくれ、フフ〜ン……どうだ、頼もしいだろ?」
ほらね、やっぱり。
手伝えとも言わない。
付き合う前はあんなにスパルタだったのに、鬼コーチは急に甘コーチになってしまった。
私に甘すぎると思う。
「なんかアイス食べたくなって来たなぁ、カラ松買ってきて」
「おう、任せておけ!」
まだ掃除機をかけている途中なのに、カラ松はすぐに掃除用のエプロンと三角巾を外して身なりを整える。
一緒に行こうって言ってくれればいいのになぁ。
お前が行けよ!って言ってくれても全然いいんだけど。