第91章 【逆ハ卒業ルート】HAPPY HALLOWEEN 2018
「ちょ、ちょっと……あ、あ、あー! きゅ、急にこの衣装がすっごく今すぐ着たくなっちゃったなぁ! いい急いで着替えてこなきゃー! 急がなきゃなー!」
マズイ。
非常にマズイ。
背中に嫌な汗をかきながら、なんとかこの状況から抜け出すべく必死に脳をフル回転させるが、そこは悲しいかな所詮ナス子の脳みそ。
「フッ……顔を赤く染めながらそんなことを言われたら、男は誰だってこうなるというものだ、ナス子」
こうなるとはどういうことだ、と思わず突っ込みたくなったが、視線をちらりと下に向ければ、なんということでしょう。
「ヒヒ……口に出したのが運のツキだったね……まぁ、遅かれ早かれこういう展開にはなってたと思うけどね」
ああ、もうダメだ。
完全にそっちのモードになってしまっている。
だがしかし、この展開はもうお決まりのパターンだ。
どうせ諦めるしかなくなるのはわかってはいても、性格的に抗わずにはいられないだけ。
「こんなベタな展開いらないし望んでないんだけど!? わわわわかってるんだからね、アンタたちがナニ考えてるかなんて……! どど、どーせ最初からこういうつもりだったんでしょ?!」
「こういうつもりってどういうつもり? ちゃんと説明してみれくれない?」
わかっているくせにこのシコ松が!
いや、今は元祖シコ松だけではなくもはや全員シコ松、いや、タチ松になっているのだが。
「普段着ない服装の恋人にムラムラして朝まで離してもらえませんでしたって、私をメチャクチャに犯しまくるつもりでしょーが! エロ同人みたいにっ!」
「エロ同人ってなに?」
「知ってるくせに、十四松兄さん。いやそれよりこの場面でそういうこと言っちゃうナス子姉ってやっぱりある意味大物だよねー」
「んじゃ、望み通りの展開に持っていってあげるよぉ? ナス子?」
望んでいない。
今の望みはここから無事に離れて今日一日帰ってこないことである。
だがしかし、その望みはとてもじゃないが叶えられそうもない。
「ナス子~……トリック、オア、トリック?」
「エロ同人で見た事ある台詞────────!! 誰かタスケテ─────────!!!]
10月31日。
ナス子の心からの叫びは、松野家の天井へと虚しく吸い込まれていくのであった。