第13章 レンタル彼氏、俺 おそ松side
そこにあったベンチにナス子を座らせ、暗くなるとライトアップされるという撮影場所でカップルの写真を撮った。
俺らが歩いていたのはちょうどそこの目の前だったらしい。
あーあーいいよなぁ本当のカップルは。爆発しろ!
人体自然発火しそうなんだけどぉ?
「はい、撮ったよー」
「ありがとうございます!あ、良かったらそちらも撮りましょうか」
「あぁ?俺らは別に写真なんて・・」
振り向くとナス子はベンチで寝こけていた。
すっげー締まりのない顔、ちょっと笑える。
ナス子の手に持ってた携帯を起こさないように引きはがし、写真を撮ってくれるっていう男の方に預けた。
「あー・・・じゃぁやっぱお願いしていっすか?」
俺はナス子の隣に座り、寝てるナス子の肩を抱き寄せて自分の肩に頭を預けさせる。
この振動で起きねぇの?マジ眠かったのなコイツ。
「あれ?あっちのライトアップの方じゃなくていいんですか?」
「あぁ、いいよこっちで」
「彼女さん寝ちゃってますけど?」
「んー、いいのいいの。こっちの方が静かで可愛気あっていいから!」
言うと男は笑いながら俺たちをナス子の携帯の画像に収めた。
確認してくださいと渡されたそれは、マジでカップルみたいだった。
満面の笑みで歯を見せて笑う俺と、アホの寝顔。
いやー、でも俺たちマトモな恰好してればいい線行くんじゃね?
ま、残念なのはナス子で、俺は元からいい男だけどな!
カップルと別れ、ナス子のバックに勝手に携帯をつめて起こしてやると、まだ眠たそうにしていたが
俺たちはまた手を繋ぐと園内を出て車に乗り込む。
当然、運転手は彼氏である俺!
今日はコイツもなんだかんだ頑張ったみたいだし、俺も久しぶりに一緒に楽しめた訳だし?
たまには甘えさせてやるかぁ。
車を発進させた後、ナス子はずっと助手席で寝ていたが
朝の時と気分が大違いの俺はたまに口を開けて寝てるコイツを見ながら爆笑しつつマンションに帰るのだった。
結局その日はナス子が爆睡したため、俺からの条件のマッサージは果たされずに終わるのだが、これ絶対今度やらせるからな?!運転で疲れてるしっ!
優しいお兄ちゃんであって彼氏の俺は、今日だけはコイツに甘くしてやる事にした。