第13章 レンタル彼氏、俺 おそ松side
「~~~ってぇ、なにも殴る事なくない?殴る事なくなぁい?!」
俺の聞き方が違ったのか?あの後鉄拳を頬に食らった。
彼氏なのに手も繋いでない。
「あ の ね ぇ、中じゃ言えないから外で言うとかそういう意味じゃないのよ、最初に私が言ったのは!」
「は~?だってそれしか方法ねぇじゃん。今日だけ彼氏なら今日しかお前だって答えてくんねぇだろ?どうせ元の関係に戻ったら教えてくんねぇだろぉ?!」
俺彼氏だよぉ~?と強く主張する。
ナス子は怒ったまま俺の方を見もしない。あーほんっと可愛くねぇぇえぇ!
「彼氏だからってなんでも聞いていいもんじゃないっての!今でも後でもずっと言わないよこの馬鹿っ」
ズカズカと機嫌悪そうに歩くナス子の隣に追いつき俺も言い返してやる。
「はぁ?はぁあああ?なによそれ、彼氏ってそういうもんじゃないの?言えばヤらせてくれるような関係だろ?なら別に胸の大きさ聞くぐらいよくない?減らないし。つかそんな勿体ぶるような乳じゃねぇだろお前!」
「勿体ぶるような乳じゃなくて悪うございましたねぇええ、この貧乳!!」
「俺におっぱいはない!!!」
おかしいな、さっきまでの俺ら結構いいムードだったハズなんだけど?
俺ちゃんと彼氏してたし、ナス子も彼女みたいな事してきたし。
何怒ってるかマジわかんねぇ。
ほんとコイツ俺相手だとすぐキレるよなぁ。
他の兄弟にはこんな風にならない癖に。
「その恨みがましい目で私を見下ろしてくるのはやめてもらえませんかねぇ?」
「べーつーにー、俺普通だし、あと俺悪くねぇし」
俺はぜってぇ、謝んねぇ。
ナス子だって自分から抱き着いてきた訳だしさ、少しくらい調子乗ったって良くね?
「わかった、俺たち・・・別れよう」
「は?」
やっぱダメなんだきっと俺たちは。
彼氏になったけど結局いつもの喧嘩だろ?
んでナス子は胸のサイズ言わないだろ?
もうこれあれだよな、カップル同士が冷めた時によくあるヤツ・・・なんだったけ~あれ、アレだよぉ
「倦怠期だ」
「ケンダッキー???」
「ちっげーよ 倦 怠 期 」
「俺たちは今、付き合って一日目の最大の危機を迎えてるんだよ」