第88章 【R18】【おそ松ルート】煩悩の松は追えども去らず
六つ子達全員が、未だにナス子を意識しているのはおそ松にとっては周知の事実。
長く付き合う事によって多少他の弟達も諦めを始め、特にトド松は最近合コンばかりしている。
「恋人同士でイチャイチャしてる時に、いくら弟と言えど他の男の話なんて聞きたくないだろ? 逆にお前に姉妹がいたら同じ事思うかもよぉ」
「そういうもんなのかな?」
「そういうもんなの! 実際トト子ちゃん相手に妬いた時だってあったろ?」
「あれはー、妬くって言うかなんて言うか……ちょっと違うようなそうなような」
「……っは、どっちだよぉ」
口調も、顔も優しいおそ松。
本当におそ松は変わった、特に二人でいる時。
六つ子全員が揃っている時はここまで変わらないのに、二人になるとまるで秘密毎のように隠す必要もない癖に違う顔を出す。
それがこの幼馴染の長女と六つ子の長男だ。
「突然すぎてあれなんだけどさぁ、おそ松……は、私の事好きって、いつ気づいたのかなって気になって」
「━━━━━━━へ?」
「き、聞いた事なかったけどずっと気になってたって言うのかな」
突然の質問におそ松が一瞬固まる。
いつ? と聞かれれば、おそ松自身の自覚はAVを見てその後マッサージを受けて身体が反応してしまった事と、その時のオカズにナス子を使ったからである。
言っていいものかとおそ松は視線を上にあげて考える。
「いつー、いつってかぁ? 難しい質問だなぁそれ! 好き!! ってなったらそれだけでいいじゃ~ん」
「だってさ、私とおそ松だよ? 特におそ松とは喧嘩ばっかだったしどちらかと言うと腐れ縁的な幼馴染だしさ、小さい頃からずーっと一緒に居たのになんで突然そんな流れになったのかなって」
まぁ、正直おそ松もナス子のネガティブでありマイナス思考な部分は理解している。
こんなに愛を表現しているのにまだ自分に自信がないのかと浅く息を吐いてしまう。
「お前ってホンっっト救いようがねぇなー」
「どういう事だ」
「いや、別に悪い意味じゃないよぉ? それも含めて好きなんだから」
ヨシヨシと相手の頭を撫でて、不安にさせないよう彼女を宥めてやる姿は本当に彼氏でもあり兄のようでもあった。