第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「でね、母さんと父さんは考えたの」
「おほん、よく聞け息子達よ。いづれこの家は長男であるおそ松が継ぐ予定だった」
「うんうん!! なんたって俺長男だからねぇ、この家の安心安全はまかせとけってぇ! だーっはっはっはっは」
「しかし、だ。長男と言えど未だ独身、ニート。童貞は卒業していたとしても他には何も変わっていない。そう、変わっていないんだ」
父は何を言い出したのだろう、おそ松は元気に答えたがその真意はわからない。
立ち上がって高笑いをしていたがピタリと動きが止まる。
「じゃあ、何かが変わればおそ松兄さんが家を継ぐんじゃなくって、ぼく達にもチャンスはあるって事だね? 父さん」
「そういう事だ、トド松。勿論末弟であるお前にだってチャンスはある」
と、そう言われても働く気など更々ないクズな六つ子。
まだ出来る事なら親の脛を齧ってずーっと甘えて生きていきたいと心底思っている。
「変わるって、就職しろって事? それなら僕はもう色々探してるけどね」
多少得意気に言う鼻高チョロ松がフンと少しだけ勝ち誇った笑みを浮かべる姿を細い目で母は見ると溜息が出て突っ込みを入れる。
「甘いわチョロ松、貴方は探してるだけでまだ就職一度しかしていないでしょ。他のクズよりはマシだけど」
「うっ」
母の突っ込みが胸に刺さる。
心臓を押え蹲るチョロ松を呆れた目で両親と残された兄弟達は見ている。
まだ言葉は続くようで、松代は付け加えて話し出した。
「そろそろ、年齢的にも考えて……いいんじゃないかしら? 寧ろ真奈美ちゃんにとっては少し遅いくらいだし」
「んーと? 母さん? 姉さんの年齢とこの家を継ぐ事の何が関係してるのー?」
「この際ハッキリ言うわ、十四松。皆……ねぇ父さん」
松代が言うのではなく、その言葉は威厳に満ちたままの父親が言うべきだろうと言葉を譲る良く出来た妻。
「お前たち……━━━━━━━━━━結婚しなさい」