第13章 レンタル彼氏、俺 おそ松side
<おそ松side>
ある日の昼間、もの凄く珍しい事にナス子が俺の家に尋ねてきた。
いや、俺ん家に来るのは珍しい訳ではないんだけど、
俺だけに用があるって事に驚いた。
だってナス子だぜ?
二人でダラダラする時間を過ごす事もあるが、顔を合わせればだいたいは軽い口喧嘩ばっかしてる気がするし。
ま、俺があそこまで言える女は余程のブスかナス子くらい?
これだとナス子をブスと同等にしてる気がするが別にいいよなぁ、ナス子だしー。かろうじて女だし。
コイツも痩せりゃまだマシだってのに、心底残念なヤツぅ。
ちなみに今は二階の俺達六つ子の部屋に二人きり。
当のナス子は気まずそうな顔で下を向いてから俺を見る。
目が合えば慌てて視線を逸らす。
なにこの動き?!気になるんだけど!
俺そんなに気が長い方じゃないし早く言ってーーー!!
じれったくソワソワするナス子を横目に窓の淵に座りタバコに火をつける。
あー、だめ!もう限界っ、もう聞く!
って別にこっちから聞いちゃいけないルールとかないからねっ、早く言わねぇコイツが悪いんだし!俺悪くねぇし。
「いきなり俺に用あるとか言ってパチンコ店から拉致っといて何も言わない訳!?もしかしたらあのまま出てたかもしれないのにっっ」
そう、俺は今日、昼からパチンコに出かけていたのだが、いきつけのパチンコ店を知っているナス子に探されていたらしくどうしても大事な急用があるからと半分力づくで拉致られた。
抵抗しようとしたが、仕方ないよなー。
俺だけに用があるなら他の弟達の所に行けとも言えねぇし。
「いや、私の勘ではきっと負けてたよ〜あれ! ま、負けて悔しい思いしなくって良かったじゃーん、あははははは」
汗ダラダラに言われた言葉に俺は恨めしそうにナス子を見た。
「普段パチンコやんないお前に勝ち負けなんてわかる訳ねーだろ〜」
「まぁ、そうなんだけども…」
しょんぼりと下を向くナス子。いいから早く本題!本題を言えって!!お兄ちゃんさっきから気になってるんだけど?!
『俺にしか言えない』
とかなに?!告白でもしてこようっての!?いや、そこまでは言ってないか、言われて困るだけなやつだわこれ。