第80章 【微エロ】【一松ルート】日向からの目線
今日も今日とて、私の家には彼がやってくる。
ボサボサの髪、眠そうな目、丸まった背中。
手には小魚が沢山入った袋を持って。
彼の名前は、松野一松。
私の大好きなヒト。
特別なヒト。
「おはよ~一松……なにぃ、今日は随分来るの早いねぇ~」
「ああ……寝てるのはわかってたんだけど、今日はどうしてもね……ちょっと、ミケ子にあげたいものがあって」
そう言って一松は手に持っていた袋を見せると、ナス子が中を覗き込む。
「うわっ、なにこれメッチャ良い匂いっ……鰹節?」
「そう……でもただの鰹節じゃない。猫のことだけを考えて作られた、最高級の鰹節らしい」
「そんなもの何処で手に入れたの? お高そう……」
「実は……パチンコの景品なんだよね。見つけて即効交換した」
「へぇ~、パチンコの景品って色んな物があるんだねぇ」
どうやら、普段は手にするようなことが出来ない代物を手にしてきたらしい。
確かに、一松の持つ袋からはなんともいえぬ香しい匂いが漂っていて、嗅いでいるだけで食欲が沸きそうなほどだ。
「でもさ、これなんで開いてるの? もしかして……」
「……うん、味見した」
「にゃんこ用でしょ?! 食べたんかいっ! ま、まぁ今にはじまったことじゃないけど……猫缶も食べるくらいだもんね、一松……」
「美味しいとか、不味いとかはよくわかんなかったけど……最高級って書かれてるし、多分、美味しいんだと思うんだよね。あげてもいいでしょ?」
「いいよ、でもあんまりいっぺんに沢山あげちゃダメだよ~」
「わかってる」
嬉しそうに頷いてしゃがみ込むと、袋から中身を取り出して掌に乗せる。