第74章 【逆ハー卒業ルート】主婦は偉大だ2
居間のちゃぶ台を挟み、チョロ松と十四松は正座している。
一方のナス子は両腕を汲んで二人を見た。
「で、あんまり聞きたくないんだけど旅行中に皆でって事は……」
「姉さんが布団の上で気持ちよさそうにしてた時だよ! ボクも気持ち良かったっ」
「……あー、えーと………」
十四松がいつもの笑顔で普通に答える中、チョロ松は真っ赤な顔をして下を向く。
仕方ない、あの日の忘れ去りたい出来事で一番ナス子に許しがたい事をした相手なのだから。
「いつ思い出したの、十四松」
気持ちがザワついて落ち着かない。
あれだけ必死に隠していたのにまさかこんな所で思い出されてしまうだなんてもう居心地すら悪いがここは聞いておかなければならないし、口留めもしなければならない。
「えっとぉ、いつだったかなぁ~、旅行終わってから思い出したよ!」
「割と早い……だと?」
「ちょ、チョロ松は?」
愕然としてたじろぐナス子。
でも思い出したのは十四松だけではない、というか十四松がチョロ松の記憶を呼び起こしてしまった。
「僕は十四松から最近聞いたばかり、だけど……ごめん、ナス子!」
すかさずチョロ松は一歩引いてナス子に土下座する。
「っっ! 変態チョロ松!! 馬鹿! 馬鹿シコ松!!」
「十四松にだって怒ってるんだからね?! ほんっとアンタらよくもあの時は……はぁ、思い出すと息の根を止めておけば良かったと思ってしまう」
「サーセン!! さーせんっしたぁ!!」
今度は十四松が指をさされ、すかさずチョロ松の隣に同じように土下座をした。
あの日を思い出して言えなかった文句をやっと二人に言ってやると、少し困ったようなくぐもった声が返ってくる。
「って言われても、あの日はかなり酔ってたから理性がぶっ飛んでたって言うか」
「と、隣に同じく!! さーせんっ!」
「うぐぐぐ、でもあの時は私達、つ、付き合っても何でもなかった! ただの幼馴染で姉弟で……っ」
そう、あの時の間柄はナス子の言う通り、幼馴染兼姉弟。
旅行のテンションでおかしくなっただけの六つ子がただ遊び半分にナス子に手を出そうとしていただけだった。