第11章 本日決戦日 チョロ松side
<チョロ松side>
手に持ったのは栄養ドリンク、大きめの紙袋、リュック。
お札を小銭に変えて準備OK。
今から僕は━━━━━・・・戦場に行く。
「うーわー、まだ会場開くまで2時間以上もあるのにこんなに並んでるんだー」
そう、ここは冬に行われるコミケ会場の列の最後尾。
前の方を見ると既に先頭の人達の姿は蟻のように小さい。
もう何百人と並んでるんだろうなぁ・・・・
皆よく並ぶよなぁ、いや、僕もなんだけどさぁ。
でも早く来ないと目当ての本やグッズが売れちゃうし、オマケで貰えるアメニティやペーパーが切れてしまう事がある。
折角今日の為に貯蓄したんだから、今日は満足行くまで買い物をしたい!
僕は緑色のがま口を握り絞めると気を引き締めて会場を見上げた。
時間待ちの為に持ってきたノベルをリュックから取り出そうとした時、後ろから声がかかる。
「すみません、最後尾ここですか?」
「あ、はいっ、そうで・・・」
「「あ」」
「ナス子姉?!」「チョロ松?!」
知ってる顔にお互い指を差し目を丸くする。
まぁ、来るとは思ってたけどね・・・コイツは。
「やっぱりチョロ松も来てたんだ~!こんな時間から早いねぇ」
いつもはこの時間は眠いとか、ダルイとか面倒臭いとか寒いとか、とにかく文句を垂れるあのナス子姉が、今日は目を真ん丸にキラキラさせて僕の隣に普通に並んだ。