第70章 【逆ハールート】花見 翌日のお泊り
玄関を開けて居間に戻る一行だが、いつも迎えてくれる母親の姿がなく、シンと静まり返っている。
「たっだいま~! ……ん?」
「どうしたのおそ松兄さん」
「いや、テーブルの上に何か封筒が、なんだぁ? まさかお金とかぁ!!」
「あっ、待て!! ちょっと皆そのクソ長男押えて!」
おそ松がテーブルの上に置かれた封筒と隣に置かれた紙袋を手に取ろうとしたのだが、そのすぐ後ろにいたチョロ松が全員に指令を出す。
「オーケィだ、ブラザー! それが何かはわからないがおそ松に見られるよりはマシだろうからな」
「もし仮に金が入ってたとしてもコイツにだけは託せないよね」
「おそ松兄さん確保―!!」
カラ松、一松、十四松とおそ松を押さえつけナス子とトド松は顔を合わせた。
一体何が残されているのだろうかとチョロ松とテーブルに視線を向ける。
「えーっと……あぁ、なんだ。 ただの手紙だよ。 残念だったねおそ松兄さん? あ、これナス子宛てのもあるよ、ハイ」
「へ? 私に?? ありがとう、なんだろ」
チョロ松が六つ子宛の手紙を。
ナス子が自分に宛てられた手紙を読む。
おそ松は残されたものが金銭ではない事に悪態をつき弟達に押さえつけられたまま潰されているが、他の弟達は残された手紙を読む二人の様子が気になっていた。
「~~~~~~っ、か、母さん……」
「……………松代さん?!」
二人がそれぞれに宛てられた内容を読むと、みるみるとその顔は赤くなってしまい、紙を持つ手がブルブルと震えてしまう。
「え、何? チョロ松兄さん、ナス子姉、どうしたの?! なんて書いてあるの?」
「「……………」」
聞かれた二人は口を噤み、赤い顔のまま居心地が悪そうにも目を細めて互いを横目に見ると目を合わせた。
「この袋の中身、嫌な予感しかしないんだけど……どう思うナス子」
「う、うん……多分それで間違ってないんじゃないかねチョロ松君」
二人の会話は意味がわからないが、そんなに言いにくい事なのかと残りの兄弟達は首を傾げ二人と残された紙袋を交互に見ながらポカンと口を開けている。
「なんだよチョロ松、早く言えよ!! なんて書いてあんの?! ナス子も、気になんだけどっ」