第70章 【逆ハールート】花見 翌日のお泊り
と言っても、付き合ってからと言うものこのような光景は既に日常茶飯事で見慣れてきてはいるナス子……。
しかし幼馴染として付き合ってきた年月の方が明らかに長く、未だこの立場に慣れない恋人はしどろもどろになってしまう。
「ああああのっ、こっここまでグイグイ来られると恥ずかしいと言いますか……慣れないといいいい、言いますか! とりあえず一松、恥ずかしいから離してっ」
「はぁ? 嫌だけど」
一松の中でもがき、腕の中から逃れようとするがそれは許されず手は緩めてもらえない。
6人と付き合うとなるとこんな大勢の中で誰かしらとイチャイチャするのかと赤くなった顔と脈が治まらない。
「うぐぐぐぐぐぐ……っ」
「全力で逃げようとしすぎじゃない……? そんなに俺の事嫌なの?」
「へ?! そ、そうじゃなくって……ああぁ、もう! 素直になれないだけだからぁっ、チョロ松なんとかしてよー!」
「だから何でお前いつも僕に助け求める訳?! 一松の目がすっごい怖いんだけどっ、手出したら殺すみたいな闇のオーラ発してるんだけどっ」
「いちま、一松!! 頭撫でてあげる! だから離して?」
いつも頼れる三男は今は役には立たないらしい。
この場は自分で何とかしようと解決策を探しヤケクソに叫んでみると、途端手が緩む。
「……………ん」
そうだった。
ヤケクソで言ったものの、一松は頭を撫でられるのが好きだった。
決して抱きしめられるのも嫌ではなく、嬉しいと言う気持ちもあるのだが、この場では離してもらえた事にホッとする。
「一松、よーしよしよしっ! いい子だねぇ、可愛いねぇ」
まるでいつものテンションで撫でてしまうのだが一松は真っ赤になって俯く。
今までなら感じた事のない照れた顔がナス子の胸を締め付けた
。