第70章 【逆ハールート】花見　翌日のお泊り

　あの後、すっかりヘソを曲げてしまったおそ松を、兄弟達は放っておけばいいと言ったのだが、どうにも気になってしまいナス子が散々我侭を聞いてやると、すぐに機嫌は元に戻り、結局良い思いをしたおそ松を弟達は恨めし気に見るハメになった。

「そうそう、そこそこー」

「……はぁ、なんで家に泊まりに来てまでマッサージするハメに」

　拗ねたおそ松を相手するのはもうお決まりパターンなのだろうか。
　いつものように松代におそ松を託され、結局ご機嫌取りだ。
　今はもう恋人でもあるのだから、放っておく訳にもいかないのだが。

「えー、お前マッサージするの好きなんだからいいじゃ～ん！　あ～キモチイー」

「どうする、あれ？　万死に価するよね？」

「いっそもう殺してもいいんじゃないか？」

「カラ松兄さんにしてはいい事言うねぇ、ぼくもそれがいいと思うなぁ」

「俺達を差し置いて自分だけいい思いするって言うのもムカツクしね……」

「一松兄さんマッサージして欲しいの？！　ボクやってあげようか！」

「違うよ十四松、そういう事じゃなくてね？　あれ見て何も思わない訳？！」

　勿論十四松も何も思わない訳ではないのだが、ナス子が誰かにマッサージをするのが好きという事は知っている。
　それに加え、一度拗ねたおそ松はしつこい。
　しつこい上にセクハラもする、このまま放置していればナス子の身も危ないのではないかと思うと十四松は考えて猫目になった。

「んー、んー、面白くはないけどぉ……でも姉さん楽しそうだし」

「ちょっと十四松！！　聞こえてるけど決して楽しい訳じゃないからっ！！　おそ松のご機嫌取り超面倒だからっ」

「おい、それこそ聞こえてんだけどぉ？！」

　おそ松の肩を揉んでいたナス子が一度手を止めて心外だと言いた気に十四松の顔を見る。
　
「え！　そうなのぉ？　じゃあ、殺っちゃおうか！！」

　先程の言葉とは裏腹にバットを手に持つ十四松。
　洒落にならないとばかりにナス子は大きく両手を振る。