第68章 【番外編】おっちゃん
「へへへ、これならもう寂しくないね!!」
「ま、もう今頃上で楽しくやってるんだろうけどなぁ~」
上を向いて空を仰ぐおそ松に続き5人も空を見上げる。
青い空に白い雲、暖かな日差し。
心地のいい木の匂いに囲まれ、6人は穏やかな笑みが漏れた。
「全くわかんないんですけどー……あ、スマホの電源ついた!」
「え、あ! ぼくのもついた!!」
「あはは、ヤバイやつかと思ったのに全然ヤバくなかったね一松兄さん!」
「ただ念が強かっただけだったね、楽しい思いをした気がする」
7人は車へと戻り、チョロ松が運転席に座りナス子はまた助手席に座る。
文句を言われると思ったがチョロ松は今回は何も言わなかった。
「では! スマホのお姉さん起動しまーす!!」
「はぁ、やっぱりお前は残念女子だよね、でもそういう所もまぁ、ナス子らしいよ、本当」
「? なんか機嫌よくない?」
「別に」
不思議な事に全てが一変し霧がなくなり太陽があたる、そして一番不思議なのはあんなに長い時間おっちゃんと過ごしたハズなのにあの小屋に移動してからの時間とあまり変わってはいなかった。
各々不思議に思う事も多いのだが、晴れ晴れした気持ちと若干疲労も交じってはいるがやっと戻ってきた幼馴染に安堵し、やはり自覚するもの、自覚が遅れているものはまだいるものの、愛しいと言う感情は大きくなるのだった。
「んじゃーとりなおしまして!! 行くぞぉ、動物園~!!」
おそ松の合図で車が出発し、一行は最初の目的の動物園に向かう。
道の途中、女性が一人で運転している車とすれ違うのだがこんな山奥に何をしにきたのだろうか。それには気づかない兄弟達だったが、実はその人物はお察しの通り、おっちゃんの愛した相手だった。
彼女が何故ここにやってきたのかもわからないままではあるが、空から見守るおっちゃんはきっとそれを見ていることだろう。
そして、再度出発した動物園での話はまた、これとは別のお話……。