第68章 【番外編】おっちゃん
「おう、って言っても適当~に作られた寂しい墓だけどな……おっちゃんはいつ死んだか昔すぎて忘れちまったよ」
「そう、なの? ずっと一人で寂しかったんだね」
「だなぁ、こんな山奥にゃ誰も来ないし独りきりの人生、誰も俺の事を気に掛けるヤツなんざいないさ」
「………じゃあ、約束して? ボクらといっぱい遊んだら姉さんを返して?」
「え━━━━━━━━━━?! 折角手に入れた女の子の身体なのにぃ?!」
「おっちゃん、人生は大事にって言ったよね? 姉さんだって人生は大事だよ? それにボクの大好きな姉さんを取っちゃうのは許さないから!」
ニコリと笑って伝えているが、その目は笑っていないようにも見える。
その威圧感に圧倒され、おっちゃんは目を見開く。
「わ、わかったよ……おっちゃん、寂しかっただけだしぃ。お前らが一緒に遊んでくれるならちゃんとこの身体は返す……でも今はおっちゃんの身体だからね?!」
「わかった!! 約束ね!」
今度は口を開いて目いっぱいに十四松は笑うと笑いかけられた相手もホっとしたような表情にかわる。
そしておっちゃんと過ごす、短いような長い時間が始まるのだった。