第68章 【番外編】おっちゃん
「ん~、ちょっと……えっとそこの紫の目つきの悪い、そう!今自分を指差したアンタ!! ちょっとこのミラー持ってて」
「は? はぁ? ……なんで俺が? ていうか早くその身体から出てけよお前……成仏しろっていうかさせてやろうか、チッ」
「怖━━━━━━━っ!! 昔おっちゃんが飼ってた全く懐いてくれなかった猫のミケ子に似てるっっ」
「………え、猫? ミケ子?」
「おう、俺は大の猫好きでなぁ!! でも残念な事に猫には愛されなかったんだよぉ、でもほらぁ! 猫って可愛いだろ~? 懐かなくっても時折見せる仕草とかたまーにだけど甘えてくれてるのかなって動作が堪らんっつーのぉ? あ、ミケ子は俺の飼ってた三毛猫の名前な!! いやぁ、可愛かったよアイツは~」
「へ、へぇ~……アンタ、いいやつかもね……」
成仏させてやるとか言いながらも、言われた通りミラーを持ってやる一松は少し機嫌が良さそうに口元を緩ませる。
「いやぁ、おっちゃんは悪いヤツじゃないよ? 死んでも成仏しきれずここを彷徨ってはいたけども、独りでずっっっっっっと寂しかった訳ぇ」
ミラーを見ながらナス子の顔と姿を確認して、服装を見るようにクルリと回転する。
「ふむふむ……、まぁ顔は悪くねぇわな。 ちょっとぽっちゃりだけど、おっちゃんの嫌いなタイプじゃない!! やったね、おっちゃん!! 悪戯し放題っ」
「おい、悪戯って何するつもりだよアンタ!! 悪いけど僕はアンタに絆されるつもりはないからね? 他の馬鹿はおいといて僕は常識人だし、この中で一番マトモなんだから」
次々と絆されて行く兄弟達を呆れて見ていたが、チョロ松は自分は違うと断言しおっちゃんに立ち向かう。
「んー……いいねぇ、スカートかぁ。 何色かなぁ??」
6人の男が見ていると言うにも関わらず、おっちゃんはナス子のスカートを捲し上げる。
捲られたスカートから下着が丸見えになると、チョロ松は息を飲んで一歩下がった。
「……んぐっ、そ、そんな……こと、しても僕は……僕は」
「…………緑の兄ちゃん、そう言いながらブリッジしてるのはなんでなん? もっと心と体に正直に生きた方が楽よ? 死んでからじゃ楽しめないんだからさぁ~」