第67章 【R18】【一松ルート】一松は猫が好き
「ねぇ、ナス子……ちょっと真剣な話があるんだけど……」
「な……なに……?」
とある日の昼下がり。
いつものようにナス子の家でゴロゴロぐだぐだと過ごしていた二人だが、一松が神妙そうな顔つきでそう口を開くと、突然訪れた緊張感にナス子は生唾を飲み込む。
「実は………ずっと、言いたくて……今まで我慢してたんだよね……」
「だ、だから、なに……っ?」
「……ちょっと言い辛いことなんだよ……だからこそ今まで言えずにいたわけなんですけどね」
「ちょっと! 早く言ってくれない?! そこまで言われたら気になってしょうがないんだけどっ! ハッ! 私もしかして知らずに一松になんかしちゃったの?! ももももしそうだったら遠慮なく言って?! 私が悪いことだったら治すように努力するしっ……!」
「……言っていいの……? 本当に……?」
「いやだから怖いって! っ……わ、別れ話……じゃないなら、何でも聞くよ……っ」
「ふっ……わかった……じゃあ、言うね……?」
一度深く深呼吸をして息を整える一松の様子に、ふざけたりからかっていたりという雰囲気は微塵も感じられず、ナス子は少し不安になるが、とりあえず別れ話ではないことはわかったので、背筋を伸ばして姿勢を良くする。
「………………」
「………………」
シンと静まり返った部屋の中、緊張した面持ちで向かい合う男と女。
ナス子は黙って一松の次の言葉を待っているが、その口は一向に開かれる気配がない。
よほど言いにくいことなのかと、ナス子はまたも不安を感じて嫌な汗をかく。
「………おれさ………猫が、好きなんだよね……」
「………え? う、うん……それは、知ってるけど……」
「………そう……」
低い声でそう呟くと、またも黙ってしまう一松に、ナス子はやきもきするが、急かすと貝のようになってしまいそうなのでここはぐっと堪えて相手の言葉をただひたすらに待つ。