第66章 【チョロ松ルート】ステップアップラヴァーズ
「チョロ松……えっと……ごめんね。なんか変な事言っちゃって……仲直り、したいんだけど……」
「別に喧嘩したわけじゃないだろ? ていうか、今回のことはほとんど僕が悪い、から……僕のほうこそ」
「なんか今日のチョロ松は謝ってばっかりだね」
そっと身体を離し目を合わせると、思わず二人して吹き出してしまう。
「なんか変な感じだなぁ……でも、付き合ってるとこういうこともあるのかな」
「あるだろうねぇ……なんか、しみじみ言うのも恥ずかしいけどね」
「ねぇナス子、今日は食べられなかったけど、今度また作ってよ、グラタン」
「いいよ。でも今度こそちゃんと食べてよねっ!」
「自分から頼んでおいて、食べないなんてこと絶対しないから安心してよ」
思わぬことからお互い自分と相手の気持ちを再確認出来た二人。
親友という関係から発展した恋。
二人の恋は確実にステップアップの段階を踏んでいた。
その後、風呂に入り、寝る準備をして二人で布団の中でただくっついていると、ウトウトし始めたチョロ松が、眠くて朦朧とする意識の中、明日トド松に謝ろう、と思ったのを最後に、ライブの疲れもあり早々に意識を手放した。
夢の中へと旅立ち、規則正しい寝息を立てるチョロ松の横で、腕枕をしてもらいひっついていたナス子は密かに唇を尖らせる。
「……なぁんで寝ちゃうかなっ……いつもはこっちが呆れるくらいしつこいのに………バカチョロー」
小声の憎み口を、隣の枕元で寝ているミケ子だけが、小さな耳をピクつかせて聞いていたのであった。