第66章 【チョロ松ルート】ステップアップラヴァーズ
「えー、私の推しは二次元だし……そんな事言われても……」
「じゃあ現実にちょっといいなって思う芸能人とかいないの?! ハリウッドで出てるような外人でもいいけどさぁっ」
矢継ぎ早に突っ込まれる言葉に目が回りそうになるも必死にウンウン唸りながらも考えてみる。
「…………い、いない、残念ながら……そ、それに」
「それに?」
「三次元なら私はチョ……チョロ松が一番、すっすすす好きだよ?」
「━━━━━━━━━━はぁ? なにそれ惚気ぇ?! こっちが心底心配して来てあげたのにまさか惚気を聞かされるハメになるとは思ってもいなかったんだけどぉ?!」
顔を赤くして女性のような動作をし、両手で顔を覆ってしまったナス子は以前までは本当に三次元に興味はなかった。
少しだけ男性として意識したのは松野家の六つ子達で、自分がチョロ松が好きだと気づいた時、初めて三次元の男性に夢中になってしまった。
しかしそれは趣味とは違う夢中なもので、別にグッズが欲しい訳でもなければシングルソングなどが欲しい訳でもない。
ただただ一緒に居てほしい、それだけだ。
「あああああぁ、ごめんトド松っ! 惚気るつもりはなかった、なかったんだよ!! でも……ほんとどうしていいか自分でも自分の気持ちがわからないと言いますかね」
「ほんっと耳腐りそうなんだけど!? やめてよねっ、兄弟の恋愛事情はまだ多少頑張って聞けるとしても、惚気なんてされた日には身体の穴と言う穴から吐血しそうになるんだけどっ」