第64章 【番外編】呪われた? おそ松
「なぁナス子・・・ちょっと、真面目な話があるんだけど・・・」
麗かな昼下がり。
私は今日も、職場でもらったスイーツをお裾分けに松野家に来ていた。
そして、もはやそういう流れになっているのか、松代さんに上がっていって~と、半ば強制的に上がらされ、おそ松の相手をしている。
おそ松以外の五人は、それぞれ何処かにお出かけ中みたい。
二人で何をするでもなくまったりしていると、いつになく神妙な面持ちで、おそ松が静かに口を開いた。
これは只事ではないという雰囲気を感じたけど、何せ相手はおそ松だ。
態度も言葉も鵜呑みにしてはいけない。
どうせ5秒後にはいつものお茶ら気た態度に戻っているに決まってるんだから。
「・・・なに?」
「・・・・・・・・・」
おそ松は、俯いて黙っている。
いや、私はまだ騙されないぞ。
今までこういう沈黙に何度騙されてきたことか。
「あのな・・・俺・・・」
「うん・・・」
どこまで溜める気なのか。
ちょっとめんどくさくなってきた・・・。
やってたゲームだって、せっかくシナリオが良いところだったけど、手を止めて話を聞いてあげてるっていうのに。
「俺・・・・・・呪われてるかもしれない」
「・・・なんだって?」
おそ松の言ったことがすぐには理解出来ず、つい素っ頓狂な声を上げてしまう。
「ゴメンもう一回言って?・・・脳みそが駄目になってるかもしれない、って言った?」
「お前ぶっ飛ばすぞ」
真顔で簡潔に怒られた。
いや、だってホントにそう思ったから・・・
およそおそ松の口から聞くことはないだろう言葉に、私は首を傾げる。