第62章 【一松ルート】デカい猫保護しました
購入したものを必要な場所に詰め、手を洗いエプロンを身につける。
ひき肉をこねる為にビニール手袋を装着すると、キリっとした顔と口調で隣に立つ一松に顔を向けた。
「よし、一松君……これよりオペを開始する!」
「はーい、先生」
「いいか、失敗は許されない! 何故なら予備は買ってないからだ」
「失敗しない自信があるって事ね。てかさ、何で医者?」
「こういうビニール手袋とかつけると言いたくならない?!」
ウキウキしながら材料のある台へと向き直り、お決まりであるクッ〇パッド先生を見ている。
その姿を、一松はミケ子を抱き机へと移動し座ると、無言で眺める。
結婚したらこんな事も当たり前になるんだなと思うと、ナス子が言った新婚な台詞を思い出し顔が赤くなる。
まだ早いとばかりに顔をブンブン振り、ミケ子と遊び始める。
「そういうえばさ……お前、料理出来たっけ? いつも適当にパスタとかうどんが多いよね。俺も嫌いじゃないけどさ」
「あのねぇ!! やらないだけでやろうと思えば出来るの!!」
「へぇ~……それじゃあお手並み拝見といきますかねぇ」
ニヤニヤと聞こえるその声に振り向いてビシリと指を差すとドヤ顔でこちらもニヤリと返す。
「ぬはは、素敵な彼女を持てて幸せだとその皮肉な口から出させてやるから待っていろよ? いちまぁつ!!」
「辛口審査してやるから、早くしてよね」
「ふふん、まっかせなさーい!!」
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「硬い」
「うん、硬いね……オペ失敗した……」
レシピや作り方をちゃんと見たハズだったのだが、予想に反してとても硬い丸い物質が出来上がる。
味はちゃんとハンバーグなのだが、それは顎が鍛えられる程頑丈だ。
一緒に作った味噌汁がいつも以上に美味しく感じた。