第1章 トラウマ
その日の放課後、部活が無かったから一松を誘おうと思って廊下を歩いていくと、ある会話が聞こえてきた。
「さっきの……確か一松くんだよね?なんか連れていかれたけど……」
「先生呼んだ方がいいかな……」
嫌な予感がして、走り出した。
すると、怒鳴り声が聞こえた。
「お前なんかいらないんだよ!」
殴る音がする。
「お前なんか生きてる意味ねぇよ!」
ゴミ箱の転がる音がする。
その場所は校舎から少し離れた路地のような所でオレが着いた時には男が
「恨むならお前の兄を恨むんだな。」
と言いながらカッターの刃を振り上げている時だった。
「一松!」
その刃が一松の白い肌に刺さる。
「い゛っ!!」
その肌を真っ赤な血が伝う。
その瞬間、オレは怒りが込み上げてくるのを感じた。
「ってんだよ。」
オレに気づいた男達は明らかに焦った様子を見せた。
「何やってんだよ!!」
ダンっと壁を叩くとレンガの欠片がパラパラと落ちた。
「ヒイッ」
男達は尻尾をまいて逃げていった。
いつか絶対殺す。でも今はそれよりも……
「一松!大丈夫か!?分かるか!?」
「カラ……松……兄さ……」
「大丈夫だぞ!誰か!先生を呼んでくれ!」
大きな声で呼びかけると、オレと同じクラスの男が気づいてくれた。
「どーした松野二号……って!本当にどうした!?」
「ちょっと色々あってな……」
「待ってろ!!」
そう言って走っていった。