第1章 駆け込み乗車は大迷惑
『兄妹ごっこ』
これは今月高校を卒業したばかりの私と、叔父の建設会社で働く20歳と23歳の兄の3人が、私が産まれてから18年間続けていたお遊びだ。
「蓮が産まれた時の事はよぉーく覚えてるよ」と語るのは23歳の長男、翔太。
翔太は私が産まれた当時、5歳。
母の出産に立ち会っていてもおかしくない年齢であり、自我が芽生え、記憶力が発達する年齢でもある。
「もう、ほんと愛しくて愛しくてなぁ~。5歳で精通迎える所だったよ~」とデレデレと語られた時は、その末期に失望した。
「蓮の名前は父さんと母さんが二人で考えて決めたらしいから、名前の由来聞くなら二人に聞いてみれば?え?俺?俺はその時まだ2歳だったから何も考えれなかったけど。赤ん坊のお前を写真で見た時、美味そうな妹だなぁーとは思っ・・・あれ、どこ行くの?」
サイコパスを披露するのは20歳の次男、伸也。
のほほんとした性格だが、騙されてはいけない。伸也は幼少の頃、私が石につまずいて膝小僧から出血した時、慌てる翔太を押し退けて「唾つければ治るらしいよ」と真顔で言いながら体の中心の棒を勃たせていた奴だ。
その頃からチラリと片鱗を見せていたサイコパスは、体の成長と共に育った。
成長期が終わった現在も、スクスクと育っている。
そんな兄達を持って、私は処女でいられるか?
答えは、否。
13歳の誕生日、初フェラチオを迎えた。
相手は伸也だった。
13歳1か月、初体験を迎えた。
相手は翔太。
撮影係は、その一月前、翔太にボコボコに殴られ蹴られ張り倒された伸也だった。
女の子はロマンティックな幻想を抱く。
かくいう私も初体験には幻想を抱いていた・・・が、現実は残酷だった。
散らばるコンドームに滴る鮮血。
あまりの痛さに泣きじゃくる私が目にしたのは、興奮しながら私を撮り続ける伸也の顔と、笑いながら私の体内を抉る翔太。
いつか痛い目を見せてやる、と『復讐少女蓮ちゃん』が私の中に誕生したのは、この時だった。