第5章 ほうれんそう
「で、話ってなに?」
『ちょっと待ってて...コーラル!ちょっと来て!』
ややあって画面に映ったのは頭の珊瑚の一つに水色のリボンを巻き、眼鏡をかけたサニーゴ。何やら書類のような紙束を抱えている。
「コーラル、なんかあったの?」
『はい。実は今、ニッポン地方で暗躍している組織があるみたいなんです』
「...もしかして、デスサイズ団?」
『ご存知なんですか?!』
「今日バトルしたよ。メガ進化ポケモン寄越せって...フェリとミルフィーがぶっ飛ばしたけど」
『相変わらずのトラブルホイホイね...』
「で、そいつらがどうかしたの?」
コーラルは書類の束から数枚の紙を抜き出した。
『実はそのデスサイズ団が暗躍しはじめてから、ニッポン地方で密猟やポケモン強奪が増えてるみたいなんです』
「え?!」
『まだそうと決まった訳ではありませんし、偶然という可能性もあります。こちらでも情報は引き続き収集しますが、フィーさん達も気をつけてください』
「わかった。ありがとうコーラル」
『いえいえ。それでは、私はこれで失礼します』
『あ、フィー。まだ通信切らないで。ちょっと聞きたいことあるから』
「はーい」
コーラルが去った後、今度はソンファが口を開いた。
『ねぇフィアンナ、あのマーブルって子のことだけど』
「あー、なんかあった?」
『惚けないでよ。わかってるでしょ』
「ごめんって」
『...あの感じだと人間か他のポケモンから虐待受けてた感じ?』
「当たり。一度ジョウトのトレーナーと旅に出て、進化出来ない、バトルに勝てないことを理由に交換に出され、交換先のトレーナーにも同じような理由で虐待されて捨てられたって」
『全く...ろくでもないトレーナーは何処にでも居るものね』
不機嫌そうにソンファは羽を動かした。