第4章 未来に繋ぐ炎
その日は突然やって来た。
「使えないポケモン、誰かに押し付けてやる」
というマスターの声がボールの外から聞こえた。どういう意味なのか一瞬解らなかったけど、一瞬何か電気がピリッとした感じがしたすぐ後、ボールから出された僕は驚いた。
目の前にいたのは、マスターじゃなかったから。
「よろしくなヒノアラシ、今日から俺がお前の新しいマスターだ」
僕は慌てて周りを見渡すと、少し離れたところにダルマッカとマスターがいた。目が合うと、マスターはなんだか怖い顔で笑った。
どうやら僕は交換に出されたらしい。
「今日からお前は俺のポケモンだ、一緒に最強のファイアーウォリアーズを作ろうぜ!」
なんかいろいろ突然過ぎてよくわからないことだらけだったけど、このマスターは僕のことを歓迎してくれているらしい。
――このマスターなら、きっと僕だってバトルに勝てるようになる――
この時の僕はそう思っていた。
これが、最悪の形で崩れるとも知らずに。
「なんだよお前、全然使えねぇじゃねぇか!」
響き渡る新しいマスターの怒声。
この日僕は、新しいマスターの元で初めてバトルに出た。ご飯の時以外で外に出ることも、バトルすることも久しぶりだった僕は、スッゴくやる気満々だったんだ。
でも、負けた。
この日も相性では有利なはずの鋼タイプのポケモンとのバトルだった。
今度こそって思ってた。
「あの野郎、弱いポケモン寄越しやがって...ヒノアラシ、お前には罰だ」
罰が何なのか、言われた時は全く解らなかったけど、その答えは夜に解った。
夕飯を抜かれたんだ。
「弱ぇ奴に食わせる飯なんてねぇよバカ。何で有利なはずの相手に勝てねぇんだよクソが!」
暴言のおまけ付きで。