第3章 前途多難な恋
「あ、精市君にジャローダ」
「やぁフェリ。まさか君がここにいるとは思ってなかったよ」
「クラスの子達がここの庭園綺麗だから行ってみてって勧められたの」
「成る程ね。ところで、君もジャローダを持ってたんだ」
「えぇ。ローズマリーっていうの。イッシュでゲットしたんだ」
「へぇ、よろしくねローズマリー」
「ジャーロ」(よろしく)
「ジャロジャーロ」(よろしくお願いいたしますわ)
これが、彼女――ローズマリー――との出会いだった。
(以下、副声音で)
『はじめまして、ローズマリーと申します。ローザとお呼びください』
『俺はジャローダだ。よろしくな、ローザ』
『貴方のことはフェリから聞いておりますわ。とても強い方だと』
『いや、俺なんてまだまだだ』
『いいえ、フェリが仰っているのですから事実なのでしょう。あの方はポケモンを見る目に長けておりますから』
そう言って笑う彼女から目が離せなくなった。
『貴女は随分自分のマスターを贔屓しているようだな』
『えぇ。だってわたくしは、フェリに感謝しているのですから』
『感謝?』
『えぇ。彼女と出会っていなければわたくしは今頃どうなっていたことか...』
そう呟く彼女は遠くを見つめ、懐かしむような悲しいような目をしていた。
『貴女は、自身のマスターのことが大好きなんだな』
『はい。唯一無二の、大切なマスターですわ』
彼女の水色の瞳は空と同じくらい透き通り、マスターに大事にされていて、彼女自身もマスターを大事に思っているという事実を物語っていた。
と同時に、そこまで思われているフェリシアが羨ましかった。