第6章 彼の世界
「詠人さん…」
「どうしたんだい!」
部屋には入るとか細い声で僕の名前を呼ぶ彼女がベッドに寝ている
「お水…」
「おい!水を持ってこい!すぐにだ」
部下に命令し水を持ってこさせた
「はぁはぁ…」
「どうして他の者に言わなかったんだ?」
「自分の力で…したかった、から…」
「それは素晴らしいことだよ。でも君は今、お腹に僕達の子が居るんだ。それに君は今までよく耐えてきたと思う。だから今は頼ってほしいんだよ僕達に」
「っ…」
「たしかに僕は自分勝手だよ。自らの意思だけで君を奪った。だから君からの恨みならどれだけでも受けるよ。君の気が済むまで、僕を蔑んでくれていい」
「そう…好きにしていいってことでいいのね?」
「あぁ。君の好きにしてくれ…」
「んふふ…わかったわ」