第5章 決意
「はっはっはっは!…ようやくクソジジイがくたばった!これでもう自由になった!」
「っ…」
「あぁ…ごめんね。起こしてしまったね」
眠っていた紗耶の元へ寄り、抱きしめる
「ようやくこれで自由になったんだよ?僕達はもう何も怖いものなんてないんだ」
「お爺様…お亡くなりになったの…?」
「あぁ!そうだ。やっと君と二人きりでずっといられるよ」
「私…悪いことをしてしまったわね…」
「どうして?あんな苦しめるような者に罪悪感なんてないだろ?」
「だって…孫の顔見せあげられなかったじゃない。それに私だってお爺様に会って話すべきだったと思うんです」
「そんなことしなくていいよ。あいつは何を言おうと聞かない。無駄なんだから」
今までの優しい声色から変わって声が低くなる
「え…」
「っ…!大丈夫。君は優しすぎるんだ。もう気にしなくていいんだよ?ほら、朝食を食べようか」
慌てて声色を戻し、笑顔で向き直す黒崎
「えぇ…」
「ほーら、君の好きなポトフだよ?あーん」
「ごめんなさい、今は食欲が…」
「そう…またお腹がすいたら言ってくれるかい?そうしたらまた温かいご飯を出すよ」
「はい…」
「あまり体調が優れないのなら、横になるといい」
紗耶は黒崎に膝枕をされ横になる
「これで正式な結婚ができるよ。3年間待った機会があったよ」
「へ…?」
「いいや、何でもないよ。君とずっといられて幸せだなって言ったんだ…」