第5章 決意
涙を流し崩れ落ちた紗耶はしばらくして口を開く
「…だったら、これだけは約束してください」
「ん?あぁいいよ。君との約束なら何だって守るよ」
「この子は…このお腹の子は私が育てます」
「っ!本当かい!?君が…君が育ててくれるんだね!?」
「私が産む子なんです。それだけはさせてください」
「あぁいいよ。君と僕で可愛いこのお腹の子にたくさんの愛を注ごうね?」
舞い上がる黒崎に紗耶は
「詠人さん…」
「なんだい?」
「あなた、本当に父親になる気はありますか?」
「っ…そ、それはあるに決まってるよ!」
「本当にそうでしょうか?私はあなたと出会って少しですけど、思ったことがあります」
「え?…」
「きっとあなたはこの子に愛を注ぐことなんてほんの少しでしかないでしょうね…」
「っ…!な、なにを…!」
「私のことばかりでしょ?きっとあなた、私がこんな質問しなければ、すぐさまにでも私を犯そうとしたんでしょ?」
「っ!」
「勝手に舞い上がらないで貰えます?私のことを思うなら、お腹の子を産むまで私に手出ししたらこの子と共に死にますから」
先程まで泣いていた彼女からキッパリと言われてしまい動揺が隠せない黒崎は
「そ、そんな…!ダメだ!君がやっと僕のものになったのに…!」
「あの監禁部屋は二度と入りたくありません。それとベタベタするのやめてください。ストレスです」
「そ、そんな…ストレスだなんて…」
人が変わったかのようにはっきりと言われ黒崎はかなりのショックを受けたようだった