第4章 逃げ惑うもの
ガチャ――――
「っ…!」
「どこにいるかな?」
部屋へ入ってきたのは黒崎だった
「隠れてないで出ておいで?今なら許してあげる」
部屋に黒崎の声が響く
紗耶の手は震えそれを抑えるので必死になる
「今出てきてくれたら、お仕置きも軽くで済ませてあげるよ?」
(お願い…見つからないで…)
「出てきてくれたら怒ったりなんてしないから、ね?」
だんだん近づく声に鼓動が聞こえてしまうほど高鳴る
「はぁ…ここには居ないか…」
黒崎はそう言い部屋の扉がパタンっと鳴る
「はぁはぁ…」
紗耶は息を止めるほど恐ろしいものだった
しばらくしてクローゼットを開け外に出たその時
「んふふ、やっと出てきてくれた」
「っ…!」
「やっぱり君はここに居ると思ったよ」
「どうして…!」
目の前には出ていったはずの黒崎がいた
「ごめんね、ひどく怯えただろ?僕の部下が総出になって君を探していたからね」
「やめて…っ!」
紗耶は抱きしめようと近づく黒崎を拒む
「っ…そんなに怯えないで。大丈夫だから。怒ったりなんてしないから、ね?」
「いやっ!近づかないで…!」
「っ…!僕だよ?君が愛する夫だよ。どうしてそんなに僕を拒むの?もう怒ったりなんてしてないんだよ?」
「…また監禁するじゃない!私はあなたの妻じゃない!」
「妻じゃないだって…?んははは!残念だね。」
「…え?」
「君はもう誰がなんと言おうと僕の妻だ。君のお腹の中には僕と君の愛の結晶ができているんだ」
「っ!」
「ね?もう僕の妻でしょ?んふふ…」
黒崎が頭の中を埋めつくしていく
それでも紗耶は信じられなかった