第16章 *奇跡*〜青峰大輝〜
…その後は、お互いの行きたい場所に行った。
そして今は、カフェから出て二人で手を繋ぎながら歩いている。
「これで遅れなかったら完璧だったのに。」
「うるせーよ。…でも、楽しかっただろ?」
「…うん。」
夕日が街全体をオレンジに染める。
ちょっと寂しいけど、この、帰り道のゆったりした時間が好き。
だけど、この時間だって終わりがくる。
気づけば、もう大輝の家についていた。
私の家は、もうちょっと先。
だから私達は、いつもここでお別れ。
「香奈」
「ん?」
寂しいな、なんて感じていると、大輝に声をかけられた。
『チュッ』
「なっ////」
突然のキス。
不意打ちな事もあって、顔が真っ赤になる。
「いい顔。」
そう言って、大輝は今日一番の笑顔を見せた。
…大輝は、私を赤面させるのが上手すぎる。