第16章 *奇跡*〜青峰大輝〜
「そんな事すると…離れたくなくなっちゃうよ。」
「俺も。まだ一緒にいてぇ…」
「ふふっ」
でも、私の家には両親が待ってる。
だから、帰らなきゃ。
「…じゃあね。」
「ああ。」
寂しげな笑顔を最後に見せて、背を向け合う二人。
そんな二人の願いを叶えるように…
奇跡は起きた。
『…ポツッ』
「?」
空から、冷たい雫が降ってくる。
その雫が、私の頬を伝った。
ポツ、ポツ、ポツ…という音が、だんだん早くなる。
見上げれば、空は灰色の雲で覆われていた。
「…嘘…」
そして…その雫は、次々と落とされて…
雨となっていった。
「うそ、いきなり!?」
どうやら、天気予報が外れたらしい。
晴天だって言ってたのに…
だから、もちろん傘なんて持ってきてない。
どうしよう…
走って帰るしか…
青「香奈っ!」
「大輝!?」
ガチャッ、バタン!というドアの音だけが聞こえて、気づけば私は、大輝の家の中にいた。
「しばらく止みそうにねーな…」
「大輝…あ、ありがと…」
色んな事が一気に起こりすぎて、私はまだ少し混乱していた。
大輝は、どんな表情をしているんだろう。
ちらっと見てみると…
「これ…今日中に止まないんじゃねーの?」
と言いながら、…笑ってた。
「…大輝?」
「香奈。」
何となく、予想っていうか、期待はしてたけど、
「今日は、泊まってけ。」
この言葉が嬉しすぎて、まだ、信じられない。
*奇跡*
二人の間に、起きた出来事。
それはまるで、
漫画のような『奇跡』でした。