第16章 *奇跡*〜青峰大輝〜
香奈side
「はぁ…」
メールも電話も来ないケータイを見て、私はため息をついた。
今日は、彼氏の大輝とのデート当日…なんだけど。
約束の時間から三十分経った今でも、待ち合わせ場所には私しかいなかった。
「何でいっつも遅れるかなー…」
「香奈ー!」
学校でも待ち合わせでも遅刻する大輝に呆れていると、遠くから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「大輝遅い!また遅刻!?」
「わりーわりー。次は遅れねーから」
「それ前も言ったよね!?」
「気のせいだって。ほら、行くぞ」
「あっ!ちょっと、大輝!?」
怒る私を、大輝はズルズルと引っ張っていった。
でも、大輝の嬉しそうな顔を見たら、文句なんか言えなくなった。