第82章 *照れ顔*〜伊月俊〜
「…はぁ。誤解を解くために、これだけは言っておくわ。」
「?」
「香奈はバスケ部見に来てないから分からないと思うけど、伊月君、いつも楽しそうに話してるわよ。」
その言葉に、なんて?と聞けば、まだ分からないのか!と軽く頭を叩かれた。
分からないんだからしょうがないじゃん、と言おうか迷ったけど、あたしは相談してる側だから、そこは黙っておく。
「だから!伊月君が楽しそうに話す事なんて、彼女の事しかないに決まってるでしょ!」
「えっ…えええっ!?」
あたしのこと!?
いや、だって、俊君クールだし、彼女自慢とかしなさそうなタイプだよ…!?
「バレンタインの次の日も、「香奈からチョコもらったー」だの「超美味かったー」だの、ずっと言ってたわよ。他の子からもいくつかもらったのに、香奈のことばっかり。」
え…?
…他の子からも?
だってあの日、俊君は…。
「俊君、リコ以外からはもらってないって言ってたよ…?」
「それは…香奈の悲しむ顔、見たくなかったんじゃない?」
そんな事、付き合う前から気遣ってくれてたなんて。
…あたし、最低だ。
彼女として見られてないなんて、そんなことない。
一人で勝手に不安になってただけだ。
「あたし明日…俊君に謝る。」
「それでよし!じゃあ、あたしそろそろ帰るね。」
ごめんね、俊君。
今すぐ言いに行きたいくらいだった。