第80章 *触れるだけで*〜笠松幸男〜
暇な中休みがきた。
いつもこの時間は読書をしてるけど、昨日読み終わっちゃって、新しい本持ってくるの忘れたし…
香奈「暇…」
それほど眠くないけど、このまま机に突っ伏してたら寝れる気がした。
寝ようかなー…なんて思って机に顔を向けた時。
笠「香奈、さん、は、いま、す、か…?」
噛み噛みで震えたゆきちゃんの声が聞こえた。
それを聞いて、顔をあげ、廊下の方を見る。
そこには、クラスの女子を目の前に、緊張で表情が強張っているゆきちゃんがいた。
女子「お、香奈ちゃーん。愛しい彼氏様がお呼びですよー♪」
香奈「う、うん…」
女子「あ、否定しないのねw」
だって実際好きだから。
でも、やっぱり目の前に立つと少し緊張する。
それは、好きになってから、ずっと変わらなかった。
香奈「ゆきちゃん、どうしたの?」
それでも、何とかいつも通りに接した。
だけど、ゆきちゃんはなんて言ったらいいのか分からないらしく、何とか自分の気持ちを言葉にしようとしてるみたいだった。
香奈「…とりあえず、ここじゃないとこ…行こっか?」
ゆきちゃんもそうしたかったらしく、頷いてくれた。
触れられると緊張するから、私は、ゆきちゃんに自分から手を繋いだ。