第75章 *手作り*〜葉山小太郎〜 request*
…そして、あっという間に月曜日。
俺は、一人ポツンと裏庭のベンチに座っていた。
昨日玲央姉と作ったとはいえ、緊張する。
というか、作るのより渡す方が緊張ハンパないじゃん!!
まだ遠野ちゃんに会ってないのに…
「何してんの?小太郎」
「うわぁぁぁ⁉」
ハァ、とため息を吐いたその瞬間、後ろから声をかけられ、ベンチから落ちそうになった。
何しろ、その声はさっきまで俺が考えてた…遠野ちゃん本人のものだったから。
その遠野ちゃんはというと、俺の声に耳を塞ぎ、迷惑だ、とでもいうような目で俺を見ていた。
「うるさい。」
「遠野ちゃんがいきなり話しかけてくるからだよ!」
なんて事を言いながら、俺は別の事を考えていた。
これって…チャンス?
周りに人はいないし、玲央姉と作ったクッキーは持ってる。
呼び出したりしなくても、今なら渡せるかもしれない。
「で、何してんの?」
「あ…えっと…」
言うなら、今だと思う。
思うけど、心の準備がっ…!!
「何よ、黙り込んで。」
「いや…あの…い、一度しか言わないから、ちゃんと聞いててね⁉」
何よそれ、と言われたけど、いいから!と言えば分かったわよ、と返された。
よし…落ち着け、俺…
「遠野ちゃん…
好き!これクッキー!付き合って!」