第61章 *人間観察*〜黒子テツヤ〜
そうして来たのは、ショッピングモール。
黒「行きたい場所はありますか?」
香奈「うーん…特にないかなぁ。」
ふわりと優しく笑ってみる。
あたしとお姉ちゃんは元々顔が似てるから、きっとお姉ちゃんっぽい笑顔になってるはず…
黒「そうですか。では、僕の行きたいところでもいいですか?」
香奈「うん、いいよ。」
あれ…無反応?
今までも、あたしとデートしてる時と何ら変わりないし…
ううん、むしろ手を繋いだりしないから、特別優しくされてるって感じでもない。
そんな感じのまま、どんどん時間は過ぎていった。
デパートでは、ずっと二人でいるわけじゃなく、別行動もしたし、お昼は、よく行くマジバじゃなかった。
テツヤの態度も普通で、何だ、お姉ちゃん、そんなに女子扱いされてるわけじゃなかったんだ、と安心した。
黒「楽しかったですね。」
香奈「ふふっ、そうだねっ。」
夕暮れの帰り道も、いつもより明るくて、帰るのが早いって分かった。
…お姉ちゃんとのデートより、あたしとのデートの方が長いんだ。
嬉しいな。
黒「…こっち、向いてください。」
香奈「ん?」
オレンジ色になりかけたばかりの空から、テツヤに視線を移す。
だけど、映ったのはテツヤの横顔じゃなくて…
『チュッ』
そんな音と共に徐々に見えて来たのは、キスの後テツヤが必ずする、ちょっと赤い顔。
…え?