第59章 *猫嫌い*〜緑間真太郎〜
緑「…もう一度聞くが、なぜ俺をここに連れてきた?」
香奈「ん?あ、それはね、今日が猫の日だからだよ!」
…猫の日?
そんなのあったか?
何かの記念日…いや、そんなのはカレンダーに載っていなかった。
緑「猫の日、とは何だ?」
香奈「2月22日で、にゃんにゃんにゃんだよ!」
…かなり無理矢理だな。
俺には理解しかねるが、猫好きにはこの日がたまらないらしかった。
各地の猫カフェでフェアがあったり、この日に猫の動画が投稿される事も多いらしい。
香奈「こうやって真ちゃん連れてきたのもね、カップルで来ると、お揃いの猫二郎ぬいぐるみがもらえるからなんだ!」
ほら、と香奈が見せてきたメニュー表の左のページには、確かにそれらしき事が書いてあった。
香奈「真ちゃんとおっそろーい♪真ちゃんとおっそろーい♪」
緑「…俺はいらん」
香奈「もー、そんな事言わないのっ!そんなやつには猫パンチだっ!」
抱きかかえていた猫を近づけられて、とっさにテーブルの下に隠れる。
身長のせいで、頭まで隠れるのには時間がかかった。
香奈「あはっ!ごめんごめん!冗談だって!」
香奈がイスに座るのを感じ、何とか俺も座った。
周りから視線を感じるが…気のせい、としておこう。
緑「ふざけるな。」
香奈「ごめんってばー。ね、猫ちゃん。」
香奈がいつの間にやら頼んでいたらしいパフェを少し食べ、猫に話しかけると、猫はにゃー、と言って香奈の顔に近づこうとした。
香奈「ん?どうしたの?」
自分の顔に届く距離まで猫を近づける香奈。
…次の瞬間、俺は驚きのあまり硬直した。