第58章 *遅い!*〜日向順平〜
朝起きると、順平はまだ起きてなかったから、そのうちに素早く着替えて部屋を出た。
…どうしよう?
いつ渡そう?
部屋を出てから、私はそれしか考えてなかった。
それもそのはず、今日はバレンタインデー。
順平をお泊まりに誘ったのも、そのためでもある。
だけど、肝心の渡すタイミングがなかなかない。
はぁ、と自分のチョコを見てため息を吐いた。
日「何だよ、それ。」
香奈「きゃあああっ!?」
と同時に、後ろから順平の声。
私の声に、順平は耳に手を当てた。
日「いきなりうるせーよ、ダアホッ!声かけただけだろーが!」
香奈「やめてよ黒子君じゃあるまいし!」
全然気づかなかった上に、順平の事考えてたから、叫んだ後も心臓がドキドキする。
なんでこんなに疲れたんだろ…
だけど、ふと思いついたある考えによって、その疑問はスルーされた。
…これって、渡すチャンス?
日「…で、何なんだよ、それ。」
香奈「あ…えと…」
言わなきゃ。
好きだって、これ順平のチョコだよって。
言わなきゃ…!
日「…誰かにやんのか?」
香奈「へっ!?あああ、うん、そだよ…?」
日「…あっそ。」
一瞬不機嫌そうな顔をした順平。
だけど、次の瞬間見えなくなった。
あれ…何だろ、これ。