第48章 *甘味、時々苦味*〜高尾和成〜
香奈「…はい。」
?『香奈…』
インターホン越しだけど、聞き覚えのある声。
間違いなく…和成だ。
最悪。
よりによって、声を聞かれたのが、和成なんて。
香奈「…嫌い。分かったら帰って。」
高「ごめん…泣いてた?」
香奈「帰ってって言ってるでしょ!」
いつもの喧嘩なら、ここで謝ってた。
だけど今日のは、私は何も悪くない。
嫌いな人に、わざわざ話しかけないでよ…
高『…ごめんな。』
試合に負けた時みたいに、和成の声が苦しそうになるのが分かった。
高『俺…本当は香奈の事、幼馴染って見れてなかった。
香奈、ずっと好きだった…』
嘘。
じゃあ何で、あんな態度とったの?
香奈「好きなら何で避けたの…?」
高『…香奈からのチョコに、期待しそうで怖かった。
香奈が俺の事好きじゃなくても…告白しそうで。』
『振られるのが怖かった。』
その気持ちは、痛いほど分かった。
香奈「和成…好き…」
高『俺も…』
気持ちが一つになって、また、さっきとは違う涙が溢れた。